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生まれてくれてありがとう

「おふくろ、死んじゃだめだぞ。俺まだ親孝行してないんだから」
夕食後の息子の一言に「大丈夫だよ、死にゃしないよ」と笑顔を返しながら、
胸の中には熱いものがいっぱいになっていた。
息子36才、まだ仕事もできず一人身でいる。
中学卒業ころから、むづかしい病気にとりつかれ、
一般では理解できない物の見方、考え方にとらわれるようになった。
一時は、一言でキレるとか荒れるとかでは言い尽くせない程の苦悩表現があり、
生まれなければ良かった、僕なんか居ないほうがいいんだ、死にたい、
みんな死んじゃえば良いの繰り返し。
事実、薬を大量に飲んで入院したこともあった。
何をすれば良いのか、しないほうが良いのか、何もわからず途方に暮れる毎日。
「死ぬんじゃないよ、生きるんだよ」
ただ心の中で念じていた。
一番苦しいのは病気の本人なんだから、とにかくがんばらなければと自分に言いきかせて
少しでも気持ちを理解しようとしながら20年、やっと解りかけてきたように思う。
と同時に病気も治ってきたかなと思うこのごろ。
父親が亡くなって一年。
「生きていてくれたらナ」時々ポツンと言う。
居なくなって改めて父親の存在を強く感じているのかも知れない。
そして「親孝行してないから、まだ死んじゃだめ」と・・・
ありがとう、今までよくがんばってくれたね。

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2008年7月3日投稿 // 長野県・女性

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