親父はガンと闘って逝った。
病気の発覚から約2年の間、どんなに辛くても笑顔だった。
時折、くやしい表情を見せたりもしたが、孫を連れて行くと、笑顔を絶やさなかった。
もう、いつ死んでもおかしくない状況の中、兄弟で交代で付きそうことになり、
その最初が自分で、最後でもあった。
たまに声をかけてないと、呼吸が止まりそうで、呼吸の間隔が一定以上あくと、声をかけた。
「明日は東京から○○兄が帰って来るよ、がんばって。」と。
不安で眠れない夜が明け、兄貴と交代し、一旦自宅待機になった。
一睡もしてなかった自分は、倒れるように寝た。
「電話なっとるに。」の妻の声に、目を覚ますと着信が何回も入っていて、
電話に出ると「あぶないから、すぐに来い。」との事で、大至急車に乗って急いだ。
病室にかけ込むと、親父の手を握り、「ありがとう、よくがんばった。」とくり返した。
その5分後位に逝ってしまった。
看護師さんの話では、「耳は最後まで聞こえるから、話しかける事で少しは延命できる。」
という事で、兄貴たちは、「秀一がもうすぐ来るから、がんばって。」と言い続けてくれてたらしい。
「最後まで辛い思いをさせてしまったのは自分だな。」と思う反面、待ってくれていた事が、とても嬉しかった。
最後の最後まで「生」に執着した親父の事を考えると、新聞、TVで見る軽々しく人を殺めたり、又、
どんな事情があるにせよ、自らの手で命を絶つ人の事を腹立たしく感じる。
生きるのは一度だけ、死んでしまったら、引き返して、生きる事は出来ないんだから、
生きている内は、何度でもやり直せると思う。
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2008年7月3日投稿 // 長野県・男性