今年の正月明け、切石の家でおじいちゃんと話していた時のこと。
普段はそういうことはほとんど口にしないおじいちゃんが、初めておばあちゃんへの想いを私に語ってくれました。
その頃のおばあちゃんは、おじいちゃんがガンと知って、ひどく落ち込んでいました。
でもおじいちゃんは、春になってあったかくなったらきっと病気も良くなって、
また畑仕事ができると信じていたんです。
本当に前向きに生きようと努力していました。
その時に、おばあちゃんへの想いを書いてくれた詩をここで発表したいと思います。
かごの鳥
お前とおれもかごの鳥
いいぢゃあないか
五十余年も好きなことをやってきた仲だもの
人生一度位 奇跡があるさ
くよくよせずにおれの手につかまって
夢の奇跡に向かって
行こうぢゃあないか
この詩を私に読ませてくれた後、あのプライドの高いおじいちゃんが大粒の涙を流しながら私に言ったんです。
「おばあちゃんだって体が弱いのに、自分の体よりおれ心配ばかりして、毎日くよくよしとる。
でもな、そんなおばあちゃんだけど、おばあちゃんがいたからおれはここまでやってこれたのよ。
おばあちゃんと一緒んなって本当によかった。
おれの心配ばかりして、くよくよしてないで、おれを信じてついてくればいいのよ。
おれはな、死ぬことはちっとも怖くない。でもな、おばあちゃんが心配でな・・・。」
と言葉をつまらせて、涙ながらに話してくれました。
おばあちゃんが洗い物を終わらせてこっちに来ると、
おじいちゃんはとっさに詩を書いた紙をびりびりにやぶいて、泣いてないフリをしていました。
その時の光景が私の心に焼き付いています。
お互いに、自分よりも相手の心配をしている姿を見て、口には出さないけど、
夫婦の愛情をすごく実感し、私も涙が止まりませんでした。
そんな最高のパートナーとめぐり逢えたおじいちゃんの人生は、本当に幸せなものだったと思います。
おじいちゃん、これからは、天国で私達を見守っていて下さい。
おじいちゃんの存在、おじいちゃんとの思い出、おじいちゃんが残してくれたもの。
私達はずっとずっと忘れないよ。
84年間、本当にお疲れ様でした。ありがとう、おじいちゃん。
平成16年7月14日
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2008年7月5日投稿 // 長野県・女性